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【MOA美術館】国宝・重要文化財が多数収蔵。絶景が望める高台の美術館

2022/12/15
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Shigenori Umebara北伊豆熱海市
【MOA美術館】国宝・重要文化財が多数収蔵。絶景が望める高台の美術館

「MOA美術館(エムオーエーびじゅつかん)」は、国宝3点をはじめ、重要文化財、重要美術品を含む、日本・中国を中心に陶磁器、彫刻、書跡、染織、絵画、金工などの名品、約3,500点を収蔵する美術館。

相模灘を見渡せる高台にあり、美しい絶景を望める美術館としても知られる。アートと自然を愛でに訪れてみよう。

(写真提供:MOA美術館)

 

世界を舞台に活躍する美術家・建築家が手がけた館内デザイン

世界を舞台に活躍する美術家・建築家が手がけた館内デザイン

1982(昭和57)年に開館した「MOA美術館」は、2017(平成29)年に改修工事を行っている。ロビーや展示エリアは、世界を舞台に活躍する現代美術家・杉本博司氏と建築家・榊田倫之氏が主催する「新素材研究所」が手掛けている。

屋久杉や黒漆器、畳など前近代の素材にこだわっており、扉は人間国宝・室瀬和美氏によるもの。美しい色と艶に、思わず足を止めてしまう。入口もぜひじっくり堪能したい。

 

 

(写真提供:MOA美術館)

尾形光琳の名品をはじめ、国宝・重要文化財を多数収蔵

尾形光琳の名品をはじめ、国宝・重要文化財を多数収蔵

国宝・尾形光琳筆「紅白梅図屏風」、野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」、三大手鑑のひとつとして知られる国宝・手鑑「翰墨城」と3点の国宝を所蔵するほか、重要文化財67点、重要美術品46点と、数多くの名品を持つ「MOA美術館」。「紅白梅図屏風」は、尾形光琳の最高傑作と呼ばれる作品で、期間限定公開。公開されるタイミングをねらって、ぜひこの有名な作品を観覧に行ってほしい。

 

 

展示室は1室から6室まであり、日本の伝統的な技法や素材が用いられているが、その中でも展示室2には、国宝「色絵藤花文茶壺」を展示するための特別な部屋が設けられている。江戸黒とよばれる艶やかな深みのある黒漆喰が使用されており、その見事な雰囲気に思わず圧倒されてしまう。

(写真提供:MOA美術館)

 

豊臣秀吉の「黄金の茶室」を復元

豊臣秀吉の「黄金の茶室」を復元

「MOA美術館」には、「黄金の茶室」がある。この茶室は、かつて豊臣秀吉が正親町天皇に茶を献じるために京都御所内の小御所に運び込んだ組み立て式の黄金の茶室。黄金の道具を用いて茶会を行ったと言われており、その茶室を復元制作したそうだ。

“黄金の世”とも称された絢爛豪華なこの茶室は、かつては秀吉の悪趣味なものとして批判されていたが、この華やかがあるから対照的な侘数寄(わびすき)を感じるという見方も。それゆえに日本の美意識を感じさせてくれるとの評価も寄せられている。どんな見方をするかはその人次第なのかもしれない。この茶室を見学してみて、どう感じるか同行者と感想を語り合うのもおもしろいと思う。

 

 

ほかにも、檜皮葺き・入母屋造りの屋根で、総檜造りの能楽堂も併設されている。日本の伝統芸能をとことん楽しませてくれるところなのだ。

(写真提供:MOA美術館)

四季を織りなす庭園と高台から見下ろす絶景

四季を織りなす庭園と高台から見下ろす絶景

 

「MOA美術館」は、JR熱海駅の背後に位置する海抜250mの丘陵地に建てられており、相模灘や伊豆半島を一望、景観美も堪能できる。館内のメインロビーや広場からは伊豆大島や初島など、美しい絶景が望むことができる。

7万坪にもおよぶ瑞雲郷と名付けられた庭園内には、春には桜やツツジ、初夏には新緑、秋には紅葉と四季折々に違った姿を見せる庭園も。モミジは150本も植樹されており、茶室「一白庵」、数奇屋建築で復元した「光琳屋敷」なども併設されている。アート作品だけでなく、日本の建築物の美しさをも感じさせてくれる場所なのだ。

 

 

なお、茶室「一白庵」では、自然農法の茶葉を使用した抹茶と和菓子をいただくこともできるので、ゆっくり過ごしたい。

(写真提供:MOA美術館。和菓子は季節により異なる)

 

お食事処やカフェで寛ぎの時間

お食事処やカフェで寛ぎの時間

 

「MOA美術館」内にはお食事処やスイーツ等を楽しめるカフェが併設しており、眼下に伊豆大島、初島や相模灘、伊豆半島を望みながら、こだわりぬいた食、スイーツ、ドリンクを楽しむことができる。カフェのひとつは、有名なパティシエ・鎧塚俊彦(よろいづかとしひこ)氏プロデュースのスイーツ店。また、地産地消とオーガニック・自然農法素材を使った日本料理をいただけるお店も。茶の庭の風情とともに楽しみたい。

(写真提供:MOA美術館。メニューは展示内容や季節により異なる)

DATA

MOA美術館(エムオーエーびじゅつかん)

住所:静岡県熱海市桃山町26-2

TEL:0557-84-2511

開館時間:9:30〜16:30(最終入館16:00)

休館日:木曜(祝休日の場合は開館)、展示替え日

アクセス:熱海駅より東海バス「MOA美術館」行に乗車(乗車時間7分)、「MOA美術館」バス停下車すぐ

URL:https://www.moaart.or.jp/

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

Shigenori Umebara

伊東市在住。「Izu Letters」編集長。子煩悩であり、伊豆の観光施設へ子どもを連れて月5回以上は足を運ぶ。ビールをこよなく愛する男。

 

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