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【伊東・金星シネマ】席数16席のミニシアター!父娘二人三脚でオープンしたD.I.Y映画館

2025/01/07
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Mayumi Miyagawa伊東市東伊豆町
【伊東・金星シネマ】席数16席のミニシアター!父娘二人三脚でオープンしたD.I.Y映画館

伊東市に2024年9月14日にオープンした「金星シネマ」。

席数16席というミニシアターをオープンさせたのは20代の移住者:梅澤舞佳さん。

長らく映画館がなかった伊東市に37年ぶりにできた常設映画館。

その施設の概要や館主・梅澤さんの思いなどをご紹介していきます。

伊豆のハワイ!?リゾート感溢れる伊東市

伊豆のハワイ!?リゾート感溢れる伊東市

伊東市は静岡県の中で最も東にある市で、伊豆半島の根っこ部分に位置しています。

東側は相模湾に面していて、海岸線は約40km。

伊東市の約45%は「富士箱根伊豆国立公園区域」に指定されています。

大室山や城ヶ崎海岸などのジオサイトがあるほか、伊豆高原エリアにはオシャレなカフェや美術館などがあり、さまざまな魅力がある場所です。

東京駅から伊東駅までは新幹線を使うと約90分で行くことができるということもポイントです。

海岸線を南北につなぐ国道135号線の道路の両脇にはワシントンヤシが植えられていて、まるでハワイのような雰囲気を味わうこともできます。

 

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2024年9月14日にオープンした映画館「金星シネマ」

2024年9月14日にオープンした映画館「金星シネマ」

「キネマ通り商店街」という名の付く商店街があるように、伊東市にはこれまでたくさんの映画館がありました。

ただ、時代の流れとともにその数は減少し、1987(昭和62)年に「銀映オリオン」が閉館して以降、その姿を消していました。

伊東市民が映画を見るためには1時間ほどかけて市外の映画館まで行く必要がありました。

そんな伊東市に37年ぶりにできたミニシアター「金星シネマ」。

2024年9月14日にオープンしたこの映画館の面積は164平方メートル。

病院だった場所を改装しました。映画館には140インチスクリーンと16の席。

本当はもっと詰めれば席数を増やすこともできたそうなのですが、(ゆったりと映画を観てほしい)そんな梅澤さんの思いからこの席数にしたのだそう。

館主の梅澤舞佳さん

館主の梅澤舞佳さん

この映画館をオープンしたのは、東京の「映画美学校」を卒業した梅澤舞佳さん。

梅澤さんは「映画美学校」で映画作りを学び、卒業後は映画製作の現場で働いていました。

ただ、その内容はとてもハードワークで、体調を崩してお仕事を少し休むことにしたのだそう。

「都会から離れて静かな場所で暮らしたい」という父親の思いもあり、2022年に伊東市に移住しました。

 

映画館オープンについて梅澤さんは

「しばらく家でダラダラと過ごしていたのですが何かやっていた方が気持ちが楽なのになと思っていた時に、同居している父から伊東市の起業支援の助成金制度があるから何かやってみれば?と教えてもらったことがきっかけ。初めは小さな喫茶店のようなものをやろうかと考えていました。ただ移住した時から伊東にはカルチャーに触れられる場があまり無いように感じていたので、色々と考えているうちに(じゃあ私の一番好きな場所、映画館を作ってみよう!)と決めました」と話してくれました。

金星シネマ

当初はキネマ通りで物件を探しましたがなかなか見つからず、少し市街地から離れた場所で眼科・耳鼻咽喉科の病院だった建物に出合った梅澤さん。

父親とD.I.Yで内装などに着手。

思いのほか大変な作業で心が折れそうになった時、手を差し伸べてくれたのは学生時代の仲間たちでした。

 

仕事の合間をぬって、駆けつけてくれたのだそう。

金星シネマ

電気工事以外すべて自分たちで。

石膏ボード・鉛シート・吸音材を駆使して作った映画館は、外の救急車の音も聞こえないほどの仕上がりとなり、没入感を味わえる映画館が完成しました。

金星シネマ

 

カフェも併設し毎日ふらっと寄れる場所に

金星シネマ

映画館にはカフェも併設。

 

カフェスペースでは地元農家さんの野菜も売っています。

もともとはカフェを作ろうと思っていたという梅澤さん。

あるとき伊東に住む学生たちの「伊東には遊ぶ場所がない」という声を耳にし、自身にとってなくてはならない存在の映画館を作り、そこにカフェを併設しようと考えました。

毎日ふらっと寄れるよう、映画の料金はリーズナブルな一般1,500円に設定。

会員制度『KINBOSHI VIBES』も用意しています。

https://kinboshicinema.com/kinboshivibes/

 

「全て自分たちで手作りした映画館なので不安も多くありましたが、オープンを迎え、お客さまから『手作り感が良かった』『とても良い作品だった』などたくさんお褒めの言葉をいただき、胸がいっぱいになりました」と梅澤さん。

 

「そして何より、『伊東に映画館を作ってくれてありがとう』という言葉を一番多くいただき、(ああやって良かったな)と思いました」とも。

 

今後の夢や目標については「私が生まれ育った東京は遊ぶ場所も、好きになるものも色々な選択肢がありました。

私が学生時代映画館という場に出会ったように、映画館を作ったことで伊東に暮らす方々の選択肢がひとつ増えれば良いなと思います」と。

映画の鑑賞料金が値上げされ、サブスクも普及した今、”特別"なことになりつつある映画館で映画を見ることを、金星シネマではもっと身近に、暮らしの延長線上でふらっと気ままに立ち寄れる場でありたい。

愛犬「金星」とともに梅澤さんは「金星シネマ」で、あなたがふらっと遊びに来てくれることを待っています。

金星シネマ

金星シネマの基本情報

金星シネマ

住所:静岡県伊東市吉田573-1

URL:https://kinboshicinema.com/

TEL:0557-28-0479

休館日:月曜日・火曜日

アクセス:伊東駅より東海バス「一碧湖経由またはぐらんぱる公園経由シャボテン公園/荻車庫」行き乗車、「新町」バス停より徒歩2分

https://www.instagram.com/kinboshi_cinema

 

 

この記事を書いた人

Mayumi Miyagawa

静岡県函南町出身。「沼津経済新聞」で地元情報を取材し、地元コミュニティーFMのラジオパーソナリティを務める。興味あるジャンルは、地場産のおいしいものとクラフトビール。伊豆半島の隠れた魅力を発信していきます。

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