【熱海・ぱなしぇ】映画の街から熱海へ。愛された味が、網代で再び
「この味を、もう一度食べたい」。
そんな声に応えるように、東京・世田谷で長く愛された洋食店が、熱海で新たな物語を始めています。
網代にある創作和食レストラン「ぱなしぇ」。
店主の勝亦俊文さんが1992年に東京・世田谷で開いた「パナシェ」は、近くに東宝スタジオがあったことから、俳優や映画関係者が足繁く通う店でした。
その後、両親の介護をきっかけに閉店。勝亦さん自身も熱海へ移住し、2022年に熱海市下多賀で「ぱなしぇ」として再スタートしました。
そして2026年6月、下多賀から網代へ移転。
新しい「ぱなしぇ」があるのは、網代の中心地から少し離れた、森に囲まれた静かな場所です。
「こんなところに、お店が?」。
初めて訪れる人なら、きっとそんな発見も楽しめるはず。
そこには、料理だけではない「ぱなしぇ」の長い物語があります。

高倉健さんも愛した「和風オムライス」
「ぱなしぇ」を語る上で欠かせないのが、看板メニューの「和風オムライス」。
東京時代から多くのファンに愛されてきた一皿で、映画関係者や俳優たちにも親しまれていました。
中でも俳優の高倉健さんが絶賛したことでも知られる、ぱなしぇを代表する料理です。
一般的なオムライスとは少し違い、そぼろご飯にふわふわの卵を合わせ、和風の味わいに仕上げています。
一度食べたら忘れられない、どこか懐かしく、それでいてちょっと新しい味。

ほかにも「特上和牛ローストビーフ丼」「牛すじカレー」「和風めんたいこスパ」など、東京時代から受け継ぐメニューが並びます。
しかも、サラダ、デザート、コーヒーがついて1,500円という価格設定も嬉しいですね。

映画の現場から生まれた「映画飯」
ぱなしぇには、もう一つの顔があります。
それが、映画や撮影現場との深いつながり。
東京時代には東宝スタジオの近くで営業していたことから、俳優や映画監督、撮影スタッフらが訪れ、ロケ弁やケータリングも手がけていました。
「特上和牛ローストビーフ丼」は俳優向けの楽屋弁当、「牛すじカレー」は特撮スタッフのケータリングとして提供していた料理。
そんな背景から、店の料理は現在「映画飯」とも呼ばれています。
長い時間を経ても、料理の中には当時の記憶が残っています。
店を閉めてからも「パナシェのロケ弁をもう一度食べたい」という声があり、それをきっかけに勝亦さんと当時の映画関係者が再びつながったというエピソードも。
料理が、人と人をもう一度つなぐ。
ぱなしぇには、そんな不思議な力があります。

網代で始まる、もう一つの物語
2026年6月、ぱなしぇは網代へ移転しました。
新しい店舗は、網代の中心地から少し離れた、木々に囲まれた静かな場所にあります。
車を走らせながら「本当にこの先にお店があるの?」と思うような場所。その先に、木の温かみを感じる「ぱなしぇ」が現れます。

街中の飲食店とは違い、周囲には豊かな緑が広がる静かな環境。
「こんな場所に、こんなお店があったんだ」。
そんな偶然の発見も、ここを訪れる楽しみの一つです。
新しい店舗は、もともと貸し別荘として使われていた建物を約2カ月かけて改装したもの。勝亦さん自身も壁の塗装を手がけ、8人ほどで利用できる個室やテラス席も設けました。

今回の移転には、勝亦さん自身の体調の変化もありました。
昨年末、疲労から体を壊して入院。
これまでレストランと宿泊施設を運営していましたが、退院後は飲食に専念することを決めました。
一時は親族を頼って御殿場への移転も考えていたそう。
ところが、地域の人たちから「熱海に残ってほしい」と声をかけられ、物件探しまで手伝ってもらったことが、網代での再出発につながりました。

新しい店では、東京時代から人気だったクリームコロッケも復活。
カニクリーム、トウモロコシ、トマトなど、日替わりでいくつもの味を楽しめます。

これからは個室を使ったワークショップ付きの食事会や、温泉浴場を生かした日帰り温泉付きの食事プランなども予定しているそう。
「料理を食べる場所」から、地域の人が集まり、何かが生まれる場所へ。
街の喧騒から少し離れ、森の中でゆっくり料理を味わう。
そんな時間も含めて、これからの「ぱなしぇ」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

ぱなしぇの基本情報
ぱなしぇ
住所:静岡県熱海市網代570-1
TEL:0557-52-4283
営業時間:11:30〜15:00 ※金曜・土曜は17:30〜21:00も営業
定休日:水曜日
駐車場:あり
アクセス:熱海駅から東海バス「網代旭町」行に乗車(乗車時間38分)、「網代小学校」バス停下車、徒歩13分

この記事を書いた人
熱海在住、ローカルメディア編集長。静岡県委嘱ライター、テレビ番組への出演などを通して、静岡、伊豆、熱海の魅力を発信しています。
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網代にある創作和食レストラン「ぱなしぇ」。
店主の勝亦俊文さんが1992年に東京・世田谷で開いた「パナシェ」は、近くに東宝スタジオがあったことから、俳優や映画関係者が足繁く通う店でした。
その後、両親の介護をきっかけに閉店。勝亦さん自身も熱海へ移住し、2022年に熱海市下多賀で「ぱなしぇ」として再スタートしました。
そして2026年6月、下多賀から網代へ移転。
新しい「ぱなしぇ」があるのは、網代の中心地から少し離れた、森に囲まれた静かな場所です。