【天城山隧道(通称:旧天城トンネル)】人気アニメのモデルの地にもなっている古いトンネル
2022/05/11
Akari Enomoto中伊豆河津町
天城山にある天城山隧道(あまぎさんずいどう)。伊豆市と河津町を結ぶ国道414号にあるこのトンネルは、旧天城トンネル(きゅうあまぎトンネル)という呼び方の方がわかりやすいのではないだろうか。夏場でもひんやりとした空気をまとう山深い場所にあり、全体が苔に覆われ、長年に渡りこの土地を支えてきたことがうかがえる。
トンネルを車で抜けるときは注意を
旧天城トンネルは、全長約445.5m、幅約4.1m、高さ3.5m。1905(明治38)年に造られた。トンネル全体がすべて石でできており、日本に現存する石造トンネルでは最大長になる。横幅は狭く、乗用車が一台通るのがやっとのほどだ。取材にあたり、車で通り抜けをしたので対向車が来たらどうしようとドキドキしてしまった。
車体をトンネルにぶつけないことはもちろんだが、対向車が来ていないかどうか、車のライトや走行音などに注意してほしい。トンネル内の石の表面は、地面に近い方がごつごつとしているが、天井にいくにしたがって平らになっている。積み上げられた石のひとつひとつの違いを見ることができるので、ぜひ歩いてみてほしい。(写真提供:伊豆市)
トンネル建設の背景
トンネルの北口には、トンネルの概要について書かれた立て看板がある。旧天城トンネルは、陸の孤島を嘆く南伊豆の人たちの強い思いにより、総工費は10万3016円と当時としては巨額を投じて開通されたのだ。賀茂郡が総工費の一部を負担したり、上河津村(現在の河津町)がトンネルまでの道路工事費を負担したりと、多くの人々が支えていたことがわかる。
看板の最後には「このトンネルの完成によって北伊豆と南伊豆の距離は一挙に短縮し、難所の天城越えは解消した」と書かれてある。大がかりな工事でもあったが、それだけ多くの方がこのトンネルの開通を願っていたのだ。
浄蓮の滝から歩いて河津七滝へ
最寄りのバス停「水生地下」(すいしょうちした)から歩いて約40分でトンネルに到着し、かなり険しい山道だが車をトンネル脇に停めることもできる。それぞれにあった行き方で訪れたい。
浄蓮の滝から河津七滝までの16.2kmの遊歩道もあり、ここは「踊り子歩道」と呼ばれている。地元の学校では、この遊歩道の一部を通って天城山を散策するのが遠足の定番に。「体力に自信がある」「自分の足でじっくり観光したい」という方は、ぜひ歩いてみてはどうだろう。木漏れ日や風に乗って揺らぐ木々、そして土の香りにリフレッシュできる。(写真提供:伊豆市)
小説やアニメ映画の舞台にも
川端康成の小説『伊豆の踊子』では、トンネル脇にある茶屋で踊り子と“私”が話をする場面で登場する。また、千尋という少女が不思議な世界に迷い込んでしまう、人気アニメ映画のモデルの地としても知られる。作品の冒頭と終盤に登場する現実世界と湯屋の世界を繋ぐトンネルは、この旧天城トンネルがモデルなのだ。昼間でも神秘的な雰囲気に包まれているこの場所は、創作の舞台としてぴったりなのだろう。(写真提供:伊豆市)
天城山隧道(通称:旧天城トンネル)の基本情報
天城山隧道(あまぎさんずいどう)
通称:旧天城トンネル(きゅうあまぎトンネル)
住所:静岡県伊豆市湯ヶ島 国道411号線(下田街道/天城街道)
アクセス:伊豆箱根鉄道 修善寺駅より東海バス「河津駅」行に乗車(乗車時間44分)、「水生地下」バス停下車 徒歩約40分
TEL:0558-85-1056(伊豆市観光協会天城支部)
URL:http://kanko.city.izu.shizuoka.jp/form1.html?pid=2481
この記事を書いた人
河津町在住。「Izu Letters」編集担当。大の猫好き。趣味は伊豆のオシャレなカフェめぐりと言いたいところだが、休日はだいたいお昼まで寝ている。最近、早起きをして行ったカフェは、伊豆高原にある「ねこカフェ にゃおん」。
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天城山にある天城山隧道(あまぎさんずいどう)は、伊豆市と河津町を結ぶ国道414号にあるトンネルだ。旧天城トンネルの呼び名で親しまれている。夏場でもひんやりとした空気をまとう山深い場所にあり、全体が苔に覆われ、長年に渡りこの土地を支えてきたことがうかがえる。