【伊東・駅弁の祇園】伊東の旅を彩る味わいー80年続く「いなり寿し」の魅力
駅弁の包みを開いた瞬間、そこに詰まっているのは料理だけではありません。人の手と心と、伊東の土地の記憶がぎゅっと詰まっています。
今回ご紹介するのは、そんな“食の詩情”を感じさせてくれる老舗、「祇園」。戦後間もない伊東の街に生まれ、今では駅の風景の一部となったこの店には、いなり寿しと共に流れる、静かで温かい物語があります。
祇園のはじまりと、守り継ぐ「手づくりの味」
1946(昭和21)年、まだ焼け跡が街に残っていた時代に、「祇園」はいなり寿し専門の店として歩みを始めました。創業者・守谷定一は、東京・浅草の映画街で活動する弁士だったそう。妻・かつ江の母の実家が稲荷神社だったことから、移り住んだ伊東で始めたのが「いなり寿し」専門店でした。
1959(昭和34)年には、当時の国鉄・伊東駅で「駅弁」の販売を開始。以来、冷たくなっても美味しいこと、食べ終えた後に心がほどけること――そんな“駅弁の美学”を貫き続けています。

看板商品のいなり寿しは、程よい甘さの油揚げとふっくら炊きあげた酢飯の一体感が絶妙。派手さはないけれど、記憶に残る滋味深さがあります。「手づくり」にこだわり、一つひとつを丁寧に包む姿勢は、今も昔も変わりません。祝いや法事などの仕出し料理にも力を入れ、暮らしの節目を支えてきた祇園は、もはや“伊東の食文化の柱”とも言える存在です。

駅弁以上、旅の余韻を持ち帰る ― 伊東駅店の魅力
伊東駅を降りてすぐ、改札の横にそっと佇むのが「祇園 伊東駅店」。駅のホームから購入することもできるので、乗り換えや電車待ちの間に来店する客も多いとか。
観光客にも地元の人にも愛されるその理由は、「ただの駅弁ではない」ことにあります。ここで味わえるいなり寿しは、旅の疲れをふっと癒してくれるような優しさに満ちています。加えて、駅弁の定番「幕の内弁当」や、3種類のおにぎりや鶏のから揚げなどを詰めた「おにぎり弁当」、根強い人気を誇る「ぎおんのからあげ」など、選ぶ楽しみもひとしお。今では懐かしい、「ポリ茶瓶」に入れたぐり茶も。旅のお供にいかがでしょう。


朝7時30分から営業しており、朝が早い旅路にも便利。売り切れ必至の人気商品もあるので、朝のうちの立ち寄りがおすすめです。駅の喧騒の中で、静かに流れる“祇園の時間”に触れること、それ自体が旅の記憶になります。

仕出し文化と地元に根ざす味 ― 本店の存在感
伊東市広野に構える本店は、駅前のにぎわいとは対照的に、どこか穏やかな時間が流れる場所です。ここでは、駅弁だけでなく、慶弔料理や各種仕出し弁当の注文も受け付けています。地元の家庭にとっては「晴れの日の味」、そして「大切な日の味」として知られ、何十年にもわたって愛され続けています。

朝8時から営業し、地元の常連客が出勤前に立ち寄る姿も。また、金額に応じて地域配送にも対応しており、慶弔やイベント時にもやさしいサービスが根づいています。
伊東に暮らす人々の記憶の中には、きっと誰にも「祇園の弁当と過ごした日」がある。そんな、“味”を超えた存在感を放つ場所なのです。

祇園の基本情報
祇園 伊東駅店
住所:静岡県伊東市湯川3丁目12−1(伊東駅構内)
営業時間:7:30〜18:00
休業日:年中無休
駐車場:市営駐車場あり(15分無料)
アクセス:JR伊東駅改札すぐ
祇園 本店
住所:静岡県伊東市広野1-2-15
営業時間:8:00〜17:00 (売り切れ次第終了)
TEL:0557-37-3366
休業日:年中無休
駐車場:駐車場あり(4台)
アクセス:南伊東駅より徒歩約10分/JR伊東駅より徒歩約15分
URL:https://gionzushi.jp/

この記事を書いた人
熱海在住、ローカルメディア編集長。静岡県委嘱ライター、テレビ番組への出演などを通して、静岡、伊豆、熱海の魅力を発信しています。
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熱海港からフェリーでわずか30分。静岡県唯一の有人離島・初島に、2022年7月、かつての土産物店「初島やまさ」がリニューアルし、「HATSUSHIMA STORE & CAFE」として生まれ変わりました。島の歴史と若い感性が融合したこの場所は、訪れる人々に新たな体験を提供しています。