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【九(いちじく)】伊豆の伝統「長岡芸者」が作るイチゴプリン。甘酸っぱい味にはほんのり文化を感じさせる

2023/02/27
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Akihiro Enoki中伊豆伊豆の国市
【九(いちじく)】伊豆の伝統「長岡芸者」が作るイチゴプリン。甘酸っぱい味にはほんのり文化を感じさせる

伊豆といえば関東近郊のイチゴ狩りスポットの代表格。当然イチゴを使った甘酸っぱい味わいを楽しめる商品が多い。

今回紹介するのは、伊豆の温泉で長く伝わる「長岡温泉」の芸者さんが作る、手作りプリン。

現役芸者の九美(くみ)さんが作る「芸者プリン」について紹介していこう。

そもそも、伊豆のイチゴってどんな味?

そもそも、伊豆のイチゴってどんな味?

静岡県は温暖な気候が特徴で一年を通して、みずみずしいフルーツを栽培するのに適した地域。みかん・スイカ・メロンなど、多くのフルーツが生産され口にされている。

その中でも「春の味覚」として知られているのがイチゴ。静岡県のイチゴは全国で5位の生産高があり、生産されている品種は「紅ほっぺ」「章姫(あきひめ)」「きらぴ香」の3種が主力となっている。

どの品種も酸味が少なく甘みが豊か。もぎたてのイチゴは爽やかな香りがあり、食べると口いっぱいに甘みと豊かな満足感を得ることができる。

伊豆の春を告げるイチゴは、例年12月15日ごろから5月中旬まで旬といわれている。

伊豆で楽しめる「イチゴ」の魅力

伊豆で楽しめる「イチゴ」の魅力

伊豆は都心からも近く、江間地域では生で食べることのできる「いちご狩り」が楽しめるのも魅力。生で食べるのはもちろんだが、練乳やチョコレートなどをディップ(ちょいつけ)して食べる方法が一般的。

イチゴ農園の周辺にはイチゴを取り扱った飲食店も豊富にあり、いちごパフェ・いちご大福・いちごのパンケーキ・クラッシュいちごのかき氷など、多彩なメニューが並ぶ。風味と甘みが目立つ逸品を、ぜひ体感してもらいたい。

 

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伊豆長岡温泉、長岡芸者とは?

伊豆長岡温泉、長岡芸者とは?

写真提供=伊豆の国市

 

日本でも有数の温泉地である伊豆長岡温泉。その歴史は古く、西暦720年(奈良時代!)には湯が沸いていて、源頼朝が挙兵の際に湯治したと言われている。

伊豆長岡芸者は、戦前から湯治や観光で訪れる人の接客をしていたとされ、興隆期には最大400人以上がいたとされている。現在は、今回の主役である九美さんを中心に10人ほどが在籍している。

宴会の席だけでなく、オンライン芸者体験や観光施設でのお座敷遊びなど、気軽に体験できる場所も。久美さんたちは、長岡芸者の存続と保存を目指してさまざまな活動をしている。

九美さんが作る「九(いちじく)の芸者プリン」

九美さんが作る「九(いちじく)の芸者プリン」

料理人の父と芸者の母を持つ九美さんは、伊豆長岡の出身。当初は母親の芸者の仕事を継ぐ気持ちはなかったという。「カナダ留学をきっかけに、自分自身のアイデンティティーについて考えるきっかけとなった。そのときに自分の出自である芸者を絶やさず、多くの人に伝えたいと思い芸者を志した」と話す。

芸者活動を行う傍ら、芸者文化の発展のため後進の指導・プロデュースなども行っている。10人までに減ってしまった長岡芸者だが、20代の若い長岡芸者の活動も目を見張る。これも九美さんの活動の功績だろう。

九美さんは、芸者活動のほかにも、カフェや芸者遊びができる料理屋の運営など、伊豆長岡の発展のために腕を振るう。

その中でもぜひ味わってほしいのが、九美さんがひとつひとつ手作りしている「九(いちじく)の芸者プリン」。伊豆長岡の隠れた名産品と言われている。

ベースとなるプリン生地は、芸者の白い肌をイメージさせるために、白色の卵黄を使っている。白色のプリンはなめらかな舌触りが特長で、口の中でやさしく味わいが広がる。

 

ほどよい容量のプリンは、思わず2つ3つと楽しみたくなる巧妙な設計。選べるソースは、カラメル・抹茶・エスプレッソの定番3種がベース。今回紹介するイチゴソースは、冬と春の一時期しか提供できない限定商品。ソースは口どけを上品にするため、鍋で温度調整しながら丁寧に製作される。

白いプリンと、赤いイチゴソースのコントラストを目で楽しんだ後、付属のスプーンで口に運ぶと、爽やかな酸味が鼻を刺激し、期待を膨らませる。口の中に入れるとくどさのない甘みと、プリンの豊かな味わいがマッチし、豊かな「伊豆の春」を感じさせる。この時季にしか味わえないプリンは、自身で食べるのはもちろん、お土産にも喜ばれる逸品に仕上がっている。

 

 

いちごプリン九

 

九美さんは「温泉旅行や外出など、お土産で持っていってほしい。プリンの味を体験してもらい、伊豆長岡芸者の文化があることを思い出してもらえれば」と話し、観光客の利用を呼びかける。

伊豆の春を感じさせる、芸者が作った伊豆のプリン。九美さんが軒先で販売しているときは、ぜひ伊豆の魅力についても聞いてほしい。

 

 

DATA

九(イチジク)

住所:静岡県伊豆の国市古奈142−1

TEL:055-948-3064

営業時間:10:00~17:30

休業日:不定休

駐車場:あり

アクセス:伊豆箱根鉄道伊豆長岡駅より伊豆箱根バスに乗車(乗車時間4分)、「古奈温泉南口」バス停下車徒歩1分

URL:https://www.ichijiku93.com/

 

 

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この記事を書いた人

Akihiro Enoki

東京都出身、沼津在住。地域特化型ニュースメディア「沼津経済新聞」編集長。現在まで伊豆半島をメインに2,000本ほどのニュース記事の執筆・取材を行っている。移住9年目。

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