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【沼津】西浦のオルタナティブなみかん農家で宿泊&農体験

2023/11/06
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Mao Harada北伊豆宿沼津市
【沼津】西浦のオルタナティブなみかん農家で宿泊&農体験

伊豆半島の西北端にある沼津市西浦地区では、温暖な気候と山の斜面を活かし、みかんの栽培が盛んにおこなわれています。

この土地で作るみかんは「西浦みかん」と呼ばれ、9月から収穫時期を迎えます。

今回は西浦の数あるみかん農家のなかでも、自然農でみかんを作り、宿泊と農体験を提供している「Orange Park Farm(オレンジパークファーム)」をご紹介します。

自然農で作る西浦みかんの農園

自然農で作る西浦みかんの農園

西浦久料にある「Orange Park Farm」は、農薬と肥料を使わない、成長を自然に委ねる自然農でみかんを栽培するみかん農園です。

農園から近くの一軒家をゲストハウスにして、山での暮らしや農体験を提供しています。

 

オレンジパークファーム 看板

 

オレンジパークファーム

 

同園代表の宗篤(むねあつし)さんは、都内で10年ほどベジタリアンメニューを提供するバーを営んでいました。

しかし、子どもの成長とともに自然の多いところで暮らしたいと、妻の実家がある西浦に移住。それ以来、義実家のみかん農園を継いで運営しています。

 

「最初は足袋を買って、奥さんの実家に寝泊まりしながら、義父にやり方を教わる毎日。急な斜面を行き来し農薬をまくだけでも一苦労だった」と当時を振り返ります。

 

栽培を続けていく中で、大量の農薬や肥料が使われていることを実感した宗さん。

次第に、自然農で野菜を作る農家との交流や勉強会への参加を経て、自然農でみかん作りをしていくようになりました。

 

オレンジパークファーム みかん

同園で作られるみかんは、オーガニック素材にこだわる菓子店や飲食店で使われたり、自社サイトを通じた個別販売、ジュースやシロップなどの加工品にしたりと、市場を通さず独自のやり方で販売しています。

ゲストハウスではジビエや無農薬野菜のごはんも

ゲストハウスではジビエや無農薬野菜のごはんも

受付では、スタッフの市川恵梨子さんが温かく迎えてくれました。

畑に行くときにはダウンや長靴を用意してくれたり、摘んできたお花を包むアルミ箔をくれたりと甲斐甲斐しくお世話をしてくれるお母さんのような存在です。

 

オレンジパークファーム 部屋

部屋は1階に1部屋、2階に2部屋。畳の和室で落ち着いた雰囲気です。

共用のキッチンやお風呂、洗面所もあります。

 

オレンジパークファーム 手料理

事前の予約でジビエや無農薬野菜を使った手料理も食べることができます。

いざ、みかん畑へ!

荷物をおろして一服したら、いよいよみかん畑へ向かいます。

用意してもらったベストと長靴を履いて、軽トラに乗り込みます。宿から車で5分ほど、細い急斜面の坂道をゆっくりと登っていくと、窓から開けた景色が…!

 

オレンジパークファーム 景色

この日はあいにくの曇り空でしたが、木々の間からはこんな景色が見えました。

 

オレンジパークファーム みかん畑

農薬を使わない畑には、草がいきいきとのびています。

あえて耕さない畑で、虫もたくさんいるのだそう。その中をかき分けて進み、収穫作業をしていきます。

 

オレンジパークファーム 間引き体験

この日は西浦みかんの高級ブランド「寿太郎」の間引き。

一般的な園では、薬剤を使って実を地面に落としてしまいますが、同園ではひとつずつ手で摘んで間引きをします。

(ちなみにこの日間引いたものは、お菓子屋さんに発送し、新しいお菓子の試作に使われるそうです)

 

オレンジパークファーム

園の周りには、絶景スポットがいくつもあり、宗さんが案内してくれました。

「ここからは愛鷹山と富士山、駿河湾が見渡せます。

西なので夕日がきれいに見えますね。夜の満月もいいですよ」と話します。

山の上だからか空気がとても澄んでいて、すがすがしい気分になりました。

ちなみに、晴れの日にはこんな景色が見られるそうです。

オレンジパークファーム 晴れた日の景色

 

オレンジパークファーム

畑の一角には菊芋の花が咲いていて「おみやげにどうぞ」と渡してくださいました。

 

オレンジパークファーム 菊芋

鮮やかな黄色のお花に心が躍ります。

この菊芋もどうやって販売しようか考え中なのだそうです。

 

オレンジパークファーム みかん

畑を降りて、途中にある作業小屋で収穫したみかんをいただきました。

ジューシーで甘酸っぱい果汁が口いっぱいに広がります。

農体験はリピーターの人も多く、間引き作業をした数ヵ月後に、収穫で再び訪れる人もいるそうです。

自社で加工するおみやげ品も

自社で加工するおみやげ品も

収穫したみかんは自社で加工して、ジュースやシロップ漬けなども販売しています。

 

オレンジパークファーム 店内

受付カウンターの横には、オリジナル商品や宗さんがセレクトした茶葉、本などが並び、見ているだけで楽しい気分になります。

宗さんは「お店をやっていたから、はいどうぞ、と渡してお客さんから直接お金をもらう、そのやり方が自分には馴染んでいるみたい」と話していました。

 

西浦みかんを深く知りたい人や、オーガニックに関心がある人、農体験に触れてみたい人、ここでしか味わえない体験をしに訪れてみてはいかがでしょうか。

新たな発想で農業をする宗さんから、きっと素敵なお話がたくさん聞けると思います。

Orange Park Farmの基本情報

Orange Park Farm(オレンジパークファーム)

住所:静岡県沼津市西浦久料144‐8

営業時間:チェックイン15時~20時/チェックアウト10時

駐車場:あり(有料)

料金:1泊4,714円~

TEL:055‐919‐5552

アクセス:沼津駅より東海バス「江梨」行に乗車(乗車時間59分)、「久料」バス停から徒歩2分

予約・問い合わせ:https://orangeparkfarm.jimdofree.com/

 

 

 

この記事を書いた人

Mao Harada

静岡県富士市出身。富士市の製紙会社で働きながら、「富士山経済新聞」で地元情報を取材している。静岡県東部の商店街と銭湯、ラーメン店巡りが趣味。

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