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【熱海・網代】老舗鰹節屋の本気メシと網代の新鮮な魚を味わう

2023/11/22
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Rieko Nagai北伊豆熱海市
【熱海・網代】老舗鰹節屋の本気メシと網代の新鮮な魚を味わう

2023年7月3日にオープンしたBUSHI MESHIは、静岡県熱海市網代にある食事処です。

店名の由来は「削り節(ぶし)」と「飯(めし)」で、その名の通り、削り節とメシをテーマにしています。

BUSHI MESHIでは一体、どのような料理を味わえるのでしょうか? 

この記事では、BUSHI MESHIの魅力に迫ります。

削りたてのかつお節がふわりと揺れる至高のかつお節ご飯

BUSHI MESHIの食事メニューは「ごはんセット」「お茶漬けセット」「おむすびセット」(いずれも660円税込、2023年10月現在)の3種類のみと、いたってシンプル。ぜひ味わいたいのがこの店の人気ナンバー1メニュー「ごはんセット」です。

かつお節ご飯と味噌汁、香の物がセットになっています。

 

かつお節は、削り立てほやほや。

炊きたて熱々ご飯の上でゆらゆらと舞い、良い香りがふわりと立ち上ります。

味噌汁の具は日替わり。魚のツミレや身がゴロリと入っていて、食べ応えがあります。この日はカマスのツミレ汁でした。

 

BUSHI MESHIでは、注文を受けてからかつお節を目の前で削ります。

かつお節はとても繊細で、削り方や厚みで味が変わります。

こちらでは0.02mmに設定しており、口に入れれば香りが広がり、嚙むほどにうま味が凝縮されていきます。

 

かつお節ご飯といえば、醬油をかけるものだと考える方もいることでしょう(少なくとも筆者はそうでした)。

ところが、BUSHI MESHIのかつお節は風味が濃厚でびっくりするほど味わい深く、醬油なしで一気に完食でした!

 

さてここで、取材中に来店していたお客様が話してくれたエピソードをご紹介します。

初来店は数ヶ月前とのこと。

元々かつお節が大の苦手だったそうですが、「この店のならきっと大丈夫だから」と家族の誘いで渋々来店、言われるがまま「ごはんセット」を注文しました。

恐る恐る口にした瞬間、あまりの美味しさにこの店のかつお節の大ファンに。

そしてこの日、ようやく再来店が叶ったそうです。

 

かつお節が苦手な人も虜にする、 BUSHI MESHIのかつお節。そもそも一体どのようなかつお節なのでしょうか?

BUSHI MESHIは削り節製造会社・丸藤の直営店

BUSHI MESHIを運営しているのは、削り節製造会社である株式会社丸藤(まるふじ)です。BUSHI MESHIは、丸藤の本社ビル1階にあります。

 

入口の扉の取手を見てみるとなんとかつお節の形をしています。

小さなこだわりです。

 

熱海市網代にある株式会社丸藤は、鰹節などを使った削り節製造を1926(昭和元)年から手がける老舗企業です。

 

一般の人びとの間での知名度があまり高くないのは、ホテルなどの宿泊施設や飲食店への卸売りがほとんどだから。

取引先の多くがホテルや料亭、和食の店で、その名前を聞いたらそうそうたる顔ぶれ!

そう、丸藤の削り節は質が高いうえに味が良く、一流の料理人たちに長く選ばれ続けている名品なのです。

 

丸藤では、静岡県焼津、鹿児島県枕崎、そして鹿児島県山川から質の高いカツオを仕入れ、丁寧に、手間暇かけて作り上げます。

 

仕入れたカツオを、たくさんの薪をくべた煙でいぶす急造庫方式という焙乾手法で乾燥させます。

この乾燥工程を何度も繰り返して熟成倉庫に保管し、さらに熟成させて品質を上げてから出荷します。

そうすることで、味の良いかつお節に仕上げていきます。

 

妥協しない丁寧な仕事をしているからこそ、丸藤の削り節は一流の料理人たちに選ばれ続けているのです。

網代港で水揚げされた鮮魚も味わえる

ところで、BUSHI MESHIの入口には「鮮魚直売」の文字があります。

実は、この店ができるまで、鮮魚を扱う魚屋が網代から姿を消していました。

目と鼻の先にある港で水揚げされた魚はすべて豊洲を始めとした他都府県の市場で売られ、地元ではなかなか味わえないという不思議な現象が起きていました。

 

そこで丸藤の藤田昌弘社長は、網代で揚がる魚を地元の人びとが買えるようにしたいと考え、網代港に最新の設備を備えた魚の加工所を建てたうえで、BUSHI MESHIに鮮魚の直売所を併設しました。

 

食事処の奥には鮮魚の直売所があります。

直売所の店主には、魚が大好きで魚に詳しい丸藤の若手社員を抜擢。

ショーケースには、彼が目利きした魚が並びます。

 

直売所には、舌の肥えた地域の皆さんが網代の魚を買いに足しげく通います。

開店当初、「網代に長く住んでいるのに、網代の魚を食べるのは何年ぶりだろう」と、喜びにあふれた感想をよく耳にしたそうです。

 

そしてもちろん、この新鮮な魚はBUSHI MESHIの店内でも味わえます。

 

「本日のお刺身 550円(税込)」(2023年10月現在)は、網代港で揚がった鮮魚3種の刺身を味わえる一品。

この日の刺身は、左から、ヒラソウダガツオのあぶり、アブラカマスのあぶり、ワカシの3種類。どれも身がプリプリで新鮮そのものでした。

 

「本日のお刺身」は、「ごはんセット」と共に注文する人が多い一品です。ほかに「本日の焼き魚」「塩うづわ(ソウダガツオの塩漬け)」各550円(税込、2023年10月現在)があります。

 

営業は平日、昼時のみ。落ち着いた雰囲気の店内で削りたてのかつお節と新鮮な魚料理を味わえる貴重なお店です。

1度訪れたらきっと、この店を目当てに、平日を選んでわざわざ網代に行きたくなること間違いなしです。

BUSHI MESHIの基本情報

BUSHI MESHI(ブシメシ)

住所:静岡県熱海市網代458-3 丸藤本社1F

営業時間:食事10:00〜14:30(L.O.14:00)、物販9:00〜16:00

定休日:土曜日・日曜日

TEL:0557-68-4147

URL:https://bushimeshi.com/

アクセス:熱海駅から東海バス「網代旭町」行きに乗車(乗車時間33分)、「網代旭町」バス停下車徒歩約4分

 

 

 

この記事を書いた人

Rieko Nagai

静岡県御殿場市出身・在住。食いしん坊で飲んべえです。趣味はヨガ、山登り、ペトロールズ。ポジションは足軽(ライター・エディター・コンテンツマーケティング・カメラマン、4足のわらじでてくてくと)。

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