COLUMN

【爪木崎】野水仙が群生。灯台・空・海・花の名演が見られるジオスポット

2022/02/01
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下田市南伊豆
【爪木崎】野水仙が群生。灯台・空・海・花の名演が見られるジオスポット

「爪木崎(つめきざき)」は、静岡県下田市の須崎半島にある岬だ。白亜の灯台、青い空、海、そして冬に咲く水仙の白とアロエの赤。それぞれが美しさを主張しながら、絶妙なバランスでこの風景を成り立たせている。互いにとって自分が美しくあるために、それぞれがなくてはならない存在なのだ。まさに爪木崎は、建築物と自然との調和が美しさを生んでいるスポットとなっている。

約300万本の野水仙の群生地で開催される「水仙まつり」

約300万本の野水仙の群生地で開催される「水仙まつり」

「爪木崎」には、約300万本の野水仙(のずいせん)の群生地がある。冬になると見頃を迎え、辺り一面が白い水仙で埋め尽くされる。最盛期である、毎年12月20日~翌年1月31日までの期間には、「水仙まつり」が開催され、県内外から多くの観光客が訪れる。

 

爪木崎水仙まつり

 

訪れたこの日も多くの人で賑わっており、あちらこちらで写真を撮る姿があった。最近思うのだが、なぜ人はこうも花に惹かれるのだろうか。筆者は、以前まで花には全く興味がなく、花を見るためにどこかへ行くだとか、旅をするなどという人の気持ちがわからなかった。しかし、最近、風景の写真を撮影するようになって見方が変わった。当たり前だが、花があるとないとでは全く印象が異なるし、花があることにより四季折々の風景を楽しめることに改めて気づくことができた。そして、だんだんと花の魅力、花を見るために旅をする人の気持ちもわかるようになってきたのだ。「華がない」とは言うが、人にとってそれほど花は必要不可欠な存在なのだろう。

ぜひ爪木崎を訪れ、この「水仙まつり」で、水仙が彩る美しい風景と冬の季節を心ゆくまで堪能して欲しい。

ハート型のベンチが置かれた「恋する灯台」

ハート型のベンチが置かれた「恋する灯台」

爪木崎のハート形ベンチ

 

爪木崎に着くと、まずハート型のベンチに目がついた。なぜハートなのか?と疑問を感じながら灯台方面へ歩みを進めると、またハート型が。ここはおそらく、カップルが灯台を背景に写真を撮る場所だ。目を離したすきに、連れてきた子どもたちが自然公園内のどこかへ行ってしまったため、なぜハートなのか?という疑問を抱えながら、一人寂しくこのハート型の中に灯台が収まるよう写真を撮ってみた。

 

爪木崎灯台

 

恋する灯台

 

さらに灯台方面に進むと、こんな看板を発見。その看板を見て、ようやくハートの理由が分かった。
爪木崎灯台は、2017(平成29)年に日本ロマンチスト協会と日本財団が実施する「恋する灯台プロジェクト」において、「恋する灯台」に認定されたのだ。どおりでカップルが多いわけだ。カップルたちはこの灯台をふたりの道しるべとして、恋や未来を誓い合うのだろうか。筆者も誓いにくるべきか……。

美しい白亜の爪木崎灯台で美しい風景写真を撮ろう

美しい白亜の爪木崎灯台で美しい風景写真を撮ろう

「爪木崎灯台」は、高さ17mの灯台で、1937(昭和12)年に建てられた。実際に見ると本当に真っ白で、背景の青い空が灯台の白さをより鮮やかにしているのがわかる。「恋する灯台」に認定されるのも納得の美しさだ。
美しさもさることながら、灯台の目の前まで歩いて行くと、その高さによる存在感に圧倒される。南伊豆町の石廊崎灯台の高さ約11mと比べ、6mもの差があるのだ。
灯台の先端からは、伊豆諸島を望むことのできる絶景が広がる。その絶景を眺める多くのカップル。そして、浮く筆者。灯台の根元に描かれている海上保安庁のイメージキャラクター「うみまる」君が愛らしい。

 

灯台の根元に描かれた「うみまる」君

灯台の根元に描かれた「うみまる」君

 

 

緑がある季節に撮影された爪木崎灯台

訪れたのは冬だが、こちらの写真は緑がある季節に撮影されたもの。

 

 

朝焼けの中で撮影された爪木崎灯台

朝焼けをねらって撮影すると幻想的。

 

 

天の川とともに撮影された爪木崎灯台

天の川とともに撮影された写真。海沿いなので、夜に訪れるとこんなにたくさんの星が見られる。カメラの腕に自信がある方はぜひこんな写真をねらいに行ってみてはいかがだろう。

ジオスポットになっている俵磯(たわらいそ)

ジオスポットになっている俵磯(たわらいそ)

爪木崎の俵磯

 

ジオスポットにもなっている爪木崎。その場所は、柱のような岩が広がっている「俵磯」といわれるエリアだ。いったいどうやってこんな地形ができたのかと、ここへ下りる前にジオの看板を確認すると、「マグマが冷える際に縮んでできたもので、これを柱状節理(ちゅうじょうせつり)と呼ぶ」とのこと。私は冷えたマグマの上に立っているということか!

ちなみに柱状節理は、河津七滝など伊豆の至るところで見られる現象だそうで、爪木崎は間近で見られるところが魅力だ。六角形や五角形の規則正しい形をしており、一つひとつ観察してみるとおもしろい。

 

爪木崎の俵磯

 

爪木崎の俵磯

 

ここにたどり着くには、非常に厳しい道を行かねばならない。岩をつたいながら登ったり下りたり、足場もかなり危ないところがある。しかしながら、ここでも子どもは危ないといっているのに一切言うことを聞かず(では連れてくるなと怒られてしまうが)、この道なき道がとても楽しいらしく、どんどん先に進んでしまう。私のような子ども連れの場合は、本当に気をつけてほしい。
先の方まで進むと、岩の間から灯台が顔を出した。柱状節理から覗く灯台は、なかなかない絵面だ。道は険しいが、この冷えたマグマに立ち、自然のありのままの姿を感じてみて欲しい。

振り返ると犬のような形をした岩

振り返ると犬のような形をした岩

帰ろうと思い振り返ると、遠くに犬のような形をした岩が見える(色味的にはライオンにも見えなくはないが)。犬が海を見ながら座っているような形の岩だ。この日は近くまで行かなかったためわからなかったが、後で調べると「親子のドッグロック」と「爪木のプレーリードッグ」と呼ばれる奇岩があるとのこと。
この写真では「親子のドッグロック」の親しか確認できないため、次に爪木崎を訪れた際は、近くから二つの岩を写真に収め、犬に見えるか答え合わせをしてみたい。

爪木崎の海

爪木崎の海

爪木崎は、入り江になった小さなビーチで、夏になるとにぎわう。海水は透き通っていて非常にきれいなのだ。シュノーケリングスポットとして、初心者から上級者までおすすめだ。筆者はまだ利用したことがないが、夏にこの透き通った海で泳いだり、シュノーケリングをしたりしたらさぞかし楽しいことだろう。また、灯台を眺めながら海に入るのもオツなものだ。夏になったらここを訪れ、様子を記事にしてみたい。

爪木崎の基本情報

爪木崎の基本情報

爪木崎(つめきざき)
住所:静岡県下田市須崎

アクセス:伊豆急下田駅より東海バス「爪木崎」行に乗車(乗車時間22分)、「爪木崎」バス停下車すぐ
TEL:0558-22-1531(下田市観光協会)
URL: https://www.shimoda-city.info/

 

 

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