【大瀬まつり】女装した漁師たちが船上で踊る「大瀬祭り」は、駿河湾に春を告げる沼津の伝統行
2023/03/30(2024/03/24)
Mayumi Miyagawaイベント北伊豆沼津市
写真提供=沼津市
沼津市に「天下の奇祭」と呼ばれる祭りがある。
毎年4月4日に開催される「大瀬まつり」。
明治時代から続く春を告げる伝統行事の魅力と見どころを紹介していこう。
大瀬まつりとは
写真提供=沼津経済新聞
毎年4月4日に開催される大瀬(おせ)神社の「大瀬まつり」 豊漁や海の安全を願う例大祭。 大瀬神社の祭神が鎮まった日(人間で言うと誕生日)が4月4日で、毎年この日に例大祭が行われているという。
明治時代から続く伝統の祭り。
大瀬神社の祭神:引手力命(ひきてちからのみこと)が男の神様なので、漁師や地元の青年たちが女装し参拝する。
当時は女性が船に乗ることができなかったため、このような風習が生まれたという。
大瀬神社の神様を喜ばせるために漁師たちが女装し、妻は夫の安全を願って長襦袢を託したのが始まりといわれている。
駿河湾の漁師が1日だけ全員女になる日
写真提供=沼津経済新聞
青年たちは、長襦袢を身にまとい、顔を白塗りにしてメイクを施す。
真っ赤な口紅も欠かせない。
大漁旗や杉、桜の枝などで華やかに装飾された漁船。
女装した青年たちが両手に持った扇子を揺らし、勇み踊りを舞う。
太鼓や笛、しゃぎりの音色に合わせ
「ちゃんちゃらおかし、ちゃらおかし。あのこのしゃっつら、まだおかし」
のお囃子が響き渡る。
この勇み踊り、昔は「馬鹿踊り」と呼ばれていたこともあったとのこと。
女装した青年たちを乗せた船は、大瀬崎にある大瀬神社へと向かう。
大瀬神社とは
写真提供=沼津市
大瀬神社のある大瀬崎は、駿河湾に向かって突き出した細長い岬で、別名「琵琶島」(びわじま)と呼ばれている。
神社の創建時期は不明だが、一説によると684(白鳳13)年に発生した大地震で海底が隆起し、土佐国(高知県)に琵琶島ができた。その島を引手力命が引っ張ってきたと考えた人たちがこの地に引手力命を祀ったのが始まりとされている。
大瀬崎にはビャクシンが約130本群生。ここ大瀬崎がビャクシンの日本最北端の自然群生地なのだ。1932(昭和7)年7月25日に「大瀬崎のビャクシン樹林」は国の天然記念物に指定された。
大瀬神社の御神木のビャクシンの推定樹齢は1500年。
驚くべきはビャクシンだけではない。
境内にある「神池」は、海に囲まれているのに淡水の池で、淡水魚の鯉が生息している。
これは伊豆の七不思議の一つに数えられている。
写真提供=沼津市
大瀬神社の正式名は引手力命神社。祭神は海の神様である引手力命。
大瀬神社は古くから海の守護神として知られ、船を新しく造る時などには、必ず大瀬神社を参詣し、海上の安全を祈願したと言われている。
大瀬神社は、水産庁の「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」に選ばれている。
女装した青年たちは大瀬神社で
写真提供=沼津市
大瀬まつりの話に戻ろう。
女装した青年を乗せた船が大瀬に到着すると、船から海へ俵が投げ込まれる。
泳いでその俵を拾った青年たちは、俵を持って大瀬神社に向い海の安全と大漁を願いお参りする。
参詣を終えた船は内浦漁港に向かう。
大漁旗を掲げた踊り船の船団を、多くの観客が待ち受ける。
華やかな船、白塗りの青年、駿河湾越しの富士山・・・
天下の奇祭ともいわれるこの光景は、誰もが写真に収めておきたいと思う瞬間だろう。
写真提供=沼津経済新聞
DATA
大瀬まつり
開催日:2024年4月4日(木)
開催時間:7:30〜(大瀬神社 例大祭 10:00〜)
開催場所:静岡県沼津市西浦江梨329
アクセス:沼津駅より東海バス「江梨」行に乗車(乗車時間67分)、終点「江梨」バス停にて戸田交通の予約制乗合タクシー「ふじみgo!」に乗り換え(乗車時間6分)、「大瀬岬」より徒歩約10分
(予約制乗合タクシーについては別途ご確認ください)
沼津駅より車で約55分
この記事を書いた人
静岡県函南町出身。「沼津経済新聞」で地元情報を取材し、地元コミュニティーFMのラジオパーソナリティを務める。興味あるジャンルは、地場産のおいしいものとクラフトビール。伊豆半島の隠れた魅力を発信していきます。
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沼津市に「天下の奇祭」と呼ばれる祭りがある。毎年4月4日に開催される「大瀬まつり・内浦漁港祭」。明治時代から続く春を告げる伝統行事の魅力と見どころを紹介していこう。