【八丁池】森林浴を愉しみながら“天城の瞳”を散策
2022/09/26
Akari Enomoto中伊豆伊豆市
「天城の瞳」の愛称で親しまれる八丁池は、天城山の標高1125mに場所にある。池の周囲が八丁(870m)あるとことからその名が付けられたが、実際には約560mだったそうだ。約20~80万年前に噴火を繰り返した天城山の上にあることから火口池と呼ばれてきたが、最近の調査で、天城山の斜面にできた活断層のずれによって谷の最奥部に窪地ができたところに水がたまってできた活断湖であることがわかっている。
八丁池とその周辺はブナやヒメシャラの原生林があり、国立公園の特別保護地区に指定されている。一般車両の通行は原則禁止されており、バスやタクシーでも途中までしか行けないので、木々の生い茂るハイキングコースを歩かなくては、八丁池までたどり着くことができない。自分の足でたどり着く達成感と森の中の開放感を味わえる場所だ。きっと日常を忘れさせてくれるだろう。
バスを利用する場合は、基本的に土曜と休日のみの運行なので、事前に確認しておこう。(写真提供:伊豆市)
「緑のダム」とも呼ばれるブナの森
落葉樹であるブナは、毎年たくさんの葉を落とす。長い年月をかけて、ふわふわの腐敗土となるのだ。筆者は学生時代、遠足で八丁池まで歩いたことがあるが、足が痛くならなかったのはそのおかげだったのかと、今更ながらに思う。
スポンジのようにたっぷりと雨水を受け止めるので、大雨や台風に見舞われても、土砂災害や洪水を防いでくれる。そして、さらにしみ込んだ水はゆっくりと濾過(ろか)され、栄養分を豊富に含んだ地下水となる。
このことから「緑のダム(天然のダム)」やヨーロッパで「マザーツリー(母なる木)」とも呼ばれている。これは中伊豆地区特産のわさびにも深く関わり、私たちの生活を支えてくれているのだ。(写真提供:伊豆市)
四季の移ろいを感じる森
ブナの原生林だけでなく、八丁池周辺はさまざまな植物が生息している。2月~4月にはアセビが、3月下旬~4月上旬にはヤマザクラが、5月にはミツバツツジなどが顔をのぞかせる。
筆者のおすすめは秋。ブナの他にもみじも色づき、池のまわりを赤く染める。紅葉した木々が水面に反射した様子はとてもきれいだ。11月中旬には落ちた葉っぱが赤い絨毯(じゅうたん)のようになり、四季の移ろいを感じることができる。ぜひさまざまな角度から撮影してみてほしい。(写真提供:伊豆市)
モリアオガエルの生息地
八丁池は、植物だけではなく、モリアオガエルの生息地でもある。モリアオガエルは森林が少なくなっているため数が減少し、天然記念物に指定されている。
池のまわりには「スズ竹」と呼ばれる直径1cmほどの細い竹が生えており、その枝に泡状の卵を産み付ける。孵化したオタマジャクシはそのまま水の中に飛び込むようになっている。白くピンポン玉くらいの大きさなのですぐわかるが、なにせ母数が少ないのでなかなあか見つけられない。もし見つけられたらラッキーだ。
ハイキングする際は十分な準備を
温暖な気候で雪が降らないイメージの伊豆地域。街中など平野部で雪は降ることはめったにないが、天城山では毎年数10cm~1m以上の雪が積もる。冬~春にハイキングをする場合は「伊豆だからそんなに寒くないだろう」などと考えず、ピッケルなどの雪山装備をしっかりと準備してほしい。もしもの備えとして、多めの食料、防寒具、ヘッドライトなども必須だ。
春~秋にハイキングする場合は、ハチやアブなどの昆虫たちに注意を。虫よけスプレーや黒い服装を避けるなど刺されない対策をしよう。私は大の虫嫌いなので、ハチの巣駆除番組で見るような顔周りに網のついた帽子をかぶりたいくらいだ……。(写真提供:伊豆市)
特別保護区のため自然の採集は厳禁
八丁池とその周辺は特別保護区となっているため、さまざまな規制がある。もともと生息していない植物を植えること、動物を放すことはもちろんだが、草花を摘む、石や昆虫などの生き物を採集するといった行為も規制されている。
八丁池はこの地に住む近隣住民、そして訪れた人の意識の積み重ねにより、豊かな自然が守られているのだ。植物採集など、ハイキング中にうっかりしてしまいがちな行動は、ここでは厳禁なので注意をしよう。
物として持ち帰ることができないが、その分、木の幹に触れたときのゴツゴツとした感触や、葉っぱの匂いを嗅いだときの青々とした香りを思い出に記憶してほしい。(写真提供:伊豆市)
八丁池の基本情報
八丁池(はっちょういけ)
住所:静岡県伊豆市湯ヶ島
TEL:0558-85-1056(伊豆市観光協会天城支部)
駐車場:なし
URL:http://www.amagigoe.jp/
アクセス:
修善寺駅より東海バス5番のりば「八丁池口」行に乗車(乗車時間73分)、終点「八丁池口」バス停より徒歩60分
または修善寺駅より東海バス5番のりば「昭和の森会館」行に乗車(乗車時間38分)、終点「昭和の森会館」バス停にて東海バス「八丁池口」行に乗り換え(乗車時間32分)、終点「八丁池口」バス停より徒歩60分
※「八丁池口」バス停への運行は4月~11月の土休日およびGW期間のみとなります。
詳しくは【東海バス「修善寺駅~八丁池口」路線バスの運行について】をご覧ください
この記事を書いた人
河津町在住。「Izu Letters」編集担当。大の猫好き。趣味は伊豆のオシャレなカフェめぐりと言いたいところだが、休日はだいたいお昼まで寝ている。最近、早起きをして行ったカフェは、伊豆高原にある「ねこカフェ にゃおん」。
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「天城の瞳」の愛称で親しまれる八丁池は、天城山の標高1125mに場所にある。池の周囲が八丁(870m)あるとことからその名が付けられたが、実際には約560mだったそうだ。約20~80万年前に噴火を繰り返した天城山の上にあることから火口池と呼ばれてきたが、最近の調査で、天城山の斜面にできた活断層のずれによって谷の最奥部に窪地ができたところに水がたまってできた活断湖であることがわかっている。