【やま弥 みかんご飯】旅人たちに愛される民宿の定食屋。魚と一緒に食べる「みかんご飯」の香りを堪能
2023/01/20
Mayumi Miyagawa北伊豆沼津市
今回紹介するのは、ミカンで有名な伊豆半島らしい「ミカンめし」。長い歴史がありファンの多い「駿陽荘 やま弥」。ここの名物は魚料理と朝どれ卵。期間限定の「みかんご飯」は冬の代名詞として知られている。一見驚かれるかも知れない組み合わせだが、そのマッチングを紹介しよう。
沼津市西浦エリアはみかんの産地
<伊豆半島・西浦で栽培されているミカン畑の様子>
沼津市の南側に位置する西浦エリアでは、江戸時代からミカン栽培が行われている。「西浦みかん」は高糖度で酸味と甘みのバランスがとれた高品質のミカン。現在は静岡の代表的なミカンの品種のひとつとして知られていて、ミカンも時期によって「極早生(ごくわせ)」や「青島(あおしま)」、地元ミカン農家の山田さんの名前が冠された「寿太郎みかん」と多彩な品種が並ぶ。夏の終わりから3月中旬頃まで出荷され、日本で最もミカンが楽しめる地域のひとつとして知られている。
沼津駅から西浦地域に向かうと、いくつかトンネルを抜ける。トンネルを抜けると、早春に橙色に色づく数多くのみかん畑が広がる。晴れた日には駿河湾越しの富士山。その壮大な景色はカメラを向けずにはいられない、
地元の人にとって当たり前の風景も、都会から訪れる人には思わずシャッターを切るのを忘れるほどの絶景だ。
<西浦地域から見える富士山。その姿多くの来訪者を迎え入れる>
駿陽荘 やま弥
<民宿も営んでいるやま弥。世代を問わす多くのファンが訪れる>
美しい景色があるこの西浦エリアに「西浦みかんご飯」を提供する食事処がある。
1973年にラーメン店として創業し、1978年から民宿と食事処を始めた 「駿陽荘 やま弥」。
現在はこの周辺で釣りを楽しむ旅行客や地元の常連客はもちろん、アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」の影響も多くあり、若い人たちがここの「白身丼」を目指してやってくることも。民宿当時から営業している「手巻きずし」は、あのお酢メーカーが参考にしたほど、やま弥のメニューは独創的で、斬新だ。
<同店から見た夕焼けの風景>
また、やま弥から見える駿河湾を挟んだ富士山が絶景。嵐の前は海底探査船「ちきゅう」もベースキャンプである清水港から高波を避けて羽を休める姿も。一番のフォトタイミングは夕方。オレンジ色に染まる富士山は、その姿を見に来るリピーターもいるとか。
西浦みかんご飯
<ミカンの香りが広がるみかんご飯>
その多くのファンのいるやま弥が、常連から支持を集めているのが、2016年から提供を始めた「みかんご飯」。若おかみの渡辺頼子さんが、ミカンの産地ならではのメニューを提供したいと試行錯誤を重ねてたどり着いた逸品だ。
やま弥のみかんご飯は、同地で収穫されるみかんを絞り、白米と一緒に炊き上げるシンプルなもの。
炊き上がったごはんは、ほんのりみかんのオレンジ色を纏い、みかんのさわやかな香りを感じさせる。口に含んだ後の豊かな味わいと香りは、やま弥で提供する魚介類の味を引き立たせる。この季節ならではの食堂のおもてなしに感動を覚える。
開発当初の2年間は「寿太郎みかん」を使ったため、1カ月半ほどしか提供できなかった。
3年目からは「極早生みかん」が出荷される9月から始めて、「寿太郎みかん」のシーズンが終わる3月ごろまでの約半年間提供できるようにした。長年のおもてなしは沼津の名物として認められ、2021年には「沼津ブランド」にも認定されている。
現在は、土曜・日曜・祝日・月曜に提供している「みかんご飯」
翌日になると色が変色し、風味も落ちてしまうため、当日炊いたものだけを出しているという。
プラス120円(2023.1月現在)で定食や丼のご飯を「みかんご飯」に変更することができる。
オススメは、やま弥一番人気の「鯛丼」
ほんのりとした甘味と、爽やかなミカンの酸味が口いっぱいに広がる。
鯛との相性も抜群だ。
直家農園で作る平飼い卵
実はこのお店、鯛の上に乗せられた卵も自家農園で作っているというから驚いてしまう。
今から約20年前に開設した養鶏場には平飼いのニワトリが約400羽。
エサは店で出る魚のアラや野菜くず、米ぬか、おがくずなどを毎日かき混ぜ、4日以上培養したものを使用する。
黄身がトロッとしていて濃厚。プリプリの鯛に絡みつく。
若おかみの頼子さんは「最初はみかんご飯に戸惑いを感じるお客様も多かったが、ジワジワと人気が高まり、今ではこれを目的に来てくれる人も増えた。初めて来たお客様にオススメするとみかんご飯に変更する女性客も多い」と話してくれた。
秋から春先にかけて味わうことのできる「西浦みかんご飯」。美しい駿河湾越しの富士山を眺めながら、穏やかな時間とともに味わってほしい。
駿陽荘 やま弥の基本情報
駿陽荘 やま弥
住所:静岡県沼津市西浦平沢92-4
営業時間:11時30分~14時30分、16時30分~19時(夕食は要予約)
休業日: 水曜、第1・3・5火曜
駐車場:あり
アクセス:沼津駅より東海バス「江梨」行に乗車(乗車時間46分)、「平沢」バス停下車徒歩0分
URL:http://www.izu-yamaya.jp/
この記事を書いた人
静岡県函南町出身。「沼津経済新聞」で地元情報を取材し、地元コミュニティーFMのラジオパーソナリティを務める。興味あるジャンルは、地場産のおいしいものとクラフトビール。伊豆半島の隠れた魅力を発信していきます。
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今回紹介するのは、ミカンで有名な伊豆半島らしい「ミカンめし」。長い歴史がありファンの多い「駿陽荘 やま弥」。ここの名物は魚料理と朝どれ卵。期間限定の「みかんご飯」は冬の代名詞として知られている。一見驚かれるかも知れない組み合わせだが、そのマッチングを紹介しよう。