【熱海・marunowa】フレンチを熱海流に再構築、時間と感性の交差点
熱海の夜に灯る人気店「marunowa(マルノワ)」。
観光客はもちろん、地元の常連たちも足しげく通うこの店には、相模湾の魚介や山あいのジビエ、近郊の畑で採れた野菜など、土地の恵みを活かした一皿一皿が並びます。
フレンチの技法とおばんざいの温かみをかけ合わせた料理は、どこか懐かしく、それでいて新しい。
料理も空間も、まちの余白を豊かに埋めていく──そんな「marunowa」を紹介します。

三軒茶屋から熱海へ──故郷に還る料理人の決断
店主・田中雄基さんが東京・三軒茶屋で営んでいたのは、多くの常連客に愛された小さなフレンチビストロ「marunowa」。そんな田中さんが選んだのは、自身が生まれ育った熱海への移転でした。
「熱海にこそ、熱海ならではの料理の提供の仕方があるのでは」──そんな直感とともに、2021年に熱海・渚町へ拠点を移し、フレンチおばんざい「marunowa」を開店。そして2025年1月、渚町の再開発をきっかけに、現在の銀座町へと再び移転することになりました。
新たな舞台となったのは、かつて多くの市民に親しまれていた喫茶店「加奈」の跡地。幼い頃、母と共に通った記憶が残るその場所は、田中さんにとって「まちの記憶と自分の原点」が重なる特別な空間でした。

地元の命が皿の上で再構築される「フレンチおばんざい」
marunowaの料理は、「地元の恵み」をフレンチの感性でほどよく再構築したもの。相模湾などで水揚げされた魚介、伊豆山や網代のジビエ、熱海近郊の畑から届く野菜など、四季折々の素材が皿の上で再解釈されるのがこの店の特徴です。

名物の「オマール海老の茶碗蒸し」は、イクラやウニ、カニを惜しみなく重ねた贅沢な一品。一方で、素朴なグラタンや煮込みなど、どこか懐かしさのある料理もそろいます。そこには「フレンチ=高級」という固定概念をほどく、“日常のなかの特別”があるのです。
さらに、喫茶店「加奈」で提供されていた洋食をヒントに、かつてのメニューを再解釈して蘇らせるという“記憶の再編集”も行われている。


余白に宿るもの──まちの交差点になるということ
現在の店舗は、かつてのカウンターや天井、照明を活かしながら、木のぬくもりややわらかな灯りで再構築された「まちのリビング」のような空間。16時からの営業には、観光客だけでなく、仕事帰りの地元客もふらりと集まります。オープンキッチンのカウンターでは、ナチュラルワインやクラフトビール片手に夜の語らいが始まり、奥のテーブル席からは、グループの楽しそうな笑い声が響きます。


そこにあるのは、飲食店の枠を超えた“感性の交差点”。都市と地方、旅人と住民、記憶と今、すべてがこの空間で少しずつ溶け合っていくように。
田中さんが作ろうとしているのは、料理だけではない。まちの中に、新しい“場”をつくることなのでしょう。

marunowa(マルノワ)の基本情報
marunowa(マルノワ)
住所:静岡県熱海市銀座町2-9
営業時間:16時〜22時(フードL.O.22時)、22時〜24時はバータイム(ドリンクL.O.23時30分)
休業日:火曜日
駐車場:なし
アクセス:熱海駅から徒歩約15分
JR熱海駅から東海バス「ひばりが丘」「紅葉ヶ丘」「網代旭町」行に乗車(乗車時間約5分)「銀座」バス停下車、徒歩5分

この記事を書いた人
熱海在住、ローカルメディア編集長。静岡県委嘱ライター、テレビ番組への出演などを通して、静岡、伊豆、熱海の魅力を発信しています。
伊豆 観光,伊豆 観光,伊豆観光,伊豆 旅行,伊豆 旅行,伊豆旅行,伊豆,伊豆半島,IzuLetters,イズレターズ,静岡観光,静岡,観光情報,旅,旅行,国内旅行,週末旅,週末旅行,家族旅行,撮影旅行,癒しの旅 女子旅,大人女子旅,自然,フォトジェニック,景色,風景,カフェ,ドライブ,デート,デートスポット,熱海市,熱海,フレンチ,ディナー,バー,marunowa
熱海の夜に灯る人気店「marunowa(マルノワ)」。
観光客はもちろん、地元の常連たちも足しげく通うこの店には、相模湾の魚介や山あいのジビエ、近郊の畑で採れた野菜など、土地の恵みを活かした一皿一皿が並びます。
フレンチの技法とおばんざいの温かみをかけ合わせた料理は、どこか懐かしく、それでいて新しい。
料理も空間も、まちの余白を豊かに埋めていく──そんな「marunowa」を紹介します。