今回、稲取の町を案内してくれたのは
荒武 優希さん
神奈川県出身。学生時代の活動をきっかけに稲取の魅力にふれ、運命的なものを感じ、その後2016年に移住。
現在は自身の会社「so-an」を立ち上げ、コワーキングスペースの運営やカフェの営業などを通じ、仲間とともに町の魅力向上とPRに努めている。
https://www.so-an.co.jp/
静岡県賀茂郡東伊豆町稲取(いなとり)。
稲取といえば、つるし飾りと金目鯛、温泉、「伊豆アニマルキングダム」で知られるところ。
河津桜で有名な河津町に近いことから、河津桜シーズンになると、桜と一緒につるし飾りを観にくる人も多い場所だ。
今回は稲取の町を、実際地元に住む方に案内してもらった。そこに住まう人だからこそ感じる町の魅力を紹介する。
荒武 優希さん
神奈川県出身。学生時代の活動をきっかけに稲取の魅力にふれ、運命的なものを感じ、その後2016年に移住。
現在は自身の会社「so-an」を立ち上げ、コワーキングスペースの運営やカフェの営業などを通じ、仲間とともに町の魅力向上とPRに努めている。
https://www.so-an.co.jp/
稲取の町を実際に歩いてみると、そのコンパクトさに驚く。
町の要・東伊豆町役場は海に面した場所にあり、向かいには漁港直売所「こらっしぇ」が。
ここまで伊豆稲取駅から徒歩5分程度ということもあり、地元民や観光客でにぎわう。
そこからほんの数分歩くと、そこはもう住宅が密集している裏路地エリアに通じる。
荒武さん曰く、このあたりは漁師はもちろん、大工・職人家族が多く暮らしているとのこと。
最近では減ってきた瓦屋根の家々が多く、ノスタルジックな雰囲気が漂う。
家の軒先には、なぜかイスを置いている家がちらほら。
「ご近所さんがどこからともなく集まり、おしゃべりがはじまる。それが日常だから、もういっそイスを常設しているみたいです」と笑う荒武さん。
人とすれ違うたびに「こんにちは」と自然に声を掛け合う空間。
一瞬でこのまちの住人になれたような、そんなやさしい時間に包まれている。
この日ランチに訪れたのは、荒武さんイチオシのお店「かもめ食堂」。
北川(ほっかわ)の定置網漁で獲れた新鮮な魚を、店主の小池さんが毎朝買い付け、その魚に合ったベストな調理法で提供してくれる。
稲取というとまず「金目鯛」を思い浮かべるが、ここではほかにも、伊豆の地魚である「尾赤アジ(おあかアジ)」や「茶色丸羽太(ちゃいろまるはた)」という珍しいハタの一種など、その日の目利きで仕入れた魚と出合える。
板前経験のある小池さんにくわえ、イタリアンで働いていたこともある息子さんも厨房に立っており、メニューには、ほかではなかなか味わえない、洋風なラインアップもいくつか。
仕入れ状況によってメニューは毎日変わるため、気になったメニューはトライしておくのがおすすめだ。
DATA
かもめ食堂
住所:静岡県賀茂郡東伊豆町稲取814
電話:0557-95-3737
営業時間:ランチ11:00〜14:00(ラストオーダー13:30)、居酒屋17:00〜23:00(ラストオーダー22:30)
休業日:水曜
アクセス:伊豆稲取駅より徒歩約10分
コロナ禍以降、多くの会社が導入したリモート勤務。
その影響もあってか、そういう働き方を選択する人たちが稲取にもいるという。
案内してもらったのは、荒武さんの会社が運営する時間貸しのレンタルスペース「EAST DOCK(イーストドッグ)」。
ふだんは移住者が仕事場として利用することが多いが、ときには移住者同士の交流会の会場となったり、月に数回は料理研究家を招いてカフェイベントを行ったりということも。
稲取の海を眺めながら、そして地元の温かさにふれながら仕事をする。
そんなワーケーションを気軽に体験するにはぴったりの場所。
利用は事前予約制なので、滞在日時が決まったら忘れずに予約を。
DATA
EAST DOCK(イーストドッグ)
住所:静岡県賀茂郡東伊豆町稲取895
営業時間:10:00〜19:00(要事前予約)
HP:https://www.dai6kitchen.com/eastdock
問い合わせ・予約はHP参照
アクセス:伊豆稲取駅より徒歩約13分
「EAST DOCK」から歩いて数分のところに、焼き菓子とコーヒーを味わえる「すみんこcafe」がある。
古民家を改装、居間と和室の仕切りをなくした広々空間で、外には広めの縁側が。
靴を脱いで"おじゃま"するスタイルに、まるで昔からの友だちの家に遊びに来たような、懐かしく落ち着ける空間となっており、思わずほっこりしてしまう。
こちらを切り盛りするのは、荒武さんの奥さんである悠衣さん。
香川県出身の悠衣さんは、結婚を機に稲取へ移住。
菓子製造やカフェで働いた経験を活かし、日替わりでお菓子をつくっている。
仕事に、町歩きに、ちょっぴり疲れたら、ぜひ足を運びたい。
DATA
すみんこcafe
住所:静岡県賀茂郡東伊豆町稲取1222-1
営業時間:11:00〜16:00(ラストオーダー15:30)
休業日:火曜・水曜・木曜
アクセス:伊豆稲取駅より徒歩約10分
次に案内してもらったのは、稲取の中でも由緒ある「八幡神社」。
雛まつりの時期に開催される、伝統の飾り「雛の吊るし飾り」の展示会場にもなるという。
神社の創建は不明だが、弥生時代の頃より、"おまつりの場"として人々が集っていたといわれている。
拝殿には見事な手彫りの彫刻が施されており、当時の職人の技術の高さがうかがえる。
両側には目と口が赤く塗られた狛犬も鎮座しており、かなりの迫力である。
神社にはかなりの樹齢と思われる木々が、敷地を囲い込むように生い茂っていて、ここだけ別世界のようにも感じる。
伊豆稲取駅から15分弱歩いただけで出合える、このおごそかな雰囲気のパワースポット。
稲取旅行の無事を祈願して、ごあいさつに訪れてはいかがだろうか。
DATA
稲取総社 八幡神社
住所: 静岡県賀茂郡東伊豆町稲取1183-1
アクセス:伊豆稲取駅より徒歩約15分
この日の宿は、築50年の古民家を1棟まるまるリノベーションした「湊庵 錆御納戸(そうあん さびのなんど)」。
塗り壁や梁などの元からあった部分と、スタイリッシュに生まれ変わった部分と、新旧ほどよく合わさった空間は、まさにレトロモダンという印象。
最大7名泊まれるということで、家族旅行はもちろん、会社のちょっとした合宿や、釣りグループなど、最近では若いカップルなども利用するという。
海水浴シーズンともなると予約はかなり込み合うとのこと。
狭い路地を歩くと、洗濯物を取り込む人や、お庭でお花を手入れする人、井戸端会議に花を咲かせる人など、稲取の日常に自然とふれ合うことができる。
まさに"暮らすように"泊まれる宿だ。
DATA
湊庵 錆御納戸 -soan sabionand-
住所:静岡県賀茂郡東伊豆町稲取1295−1
電話:090-9016-6530
HP:https://www.so-an.co.jp/sabionand/
アクセス:伊豆稲取駅より徒歩約10分
翌日、少し足を伸ばして案内してもらったのは「稲取ふれあいの森」。
港エリアから車で約10分程度車を走らせただけで、緑豊かなエリアがあらわれる。
近隣には「みかんワイナリー」や「伊豆アニマルキングダム」といった観光施設のほか、ゴルフ場、全周5kmのクロスカントリーコースもあり、おさんぽコースとしても人気のエリアだ。
このエリア内にあり、クロスカントリーの管理棟だった建物を利用して誕生したのが、キャンプ&コテージ「so-an morie(ソーアン モリエ)」。
コテージはログハウス調の建物で、森の中ということもあり、にぎやかな港町の雰囲気とは打って変わって、静かで落ち着ける雰囲気。
寝床となる大部屋は最大8名が宿泊可能で、可動式の仕切り棚で自由にレイアウトできる。
近隣に住宅はないため、大自然を思いっきり満喫できるところが魅力なんだそう。
DATA
so-an morie
住所:静岡県賀茂郡東伊豆町稲取3348-17
電話:050-8885-5698
HP: https://www.chillnn.com/178e8cd4ef6183/room/17fc91d74d319
ナビは「稲取高校」経由で設定を(住所設定の場合、険しい山道を表示される場合あり)
アクセス:伊豆稲取駅より東海バス「伊豆アニマルキングダム/稲取高校上/大川公民館」行に乗車(乗車時間10分)、「町営グランド」バス停下車すぐ
「稲取ふれあいの森」にあるクロスカントリーコースは全周5km。
そこまで散策するのはなかなか……という方におすすめしたいのが展望台。
「so-an morie」から徒歩5分程度歩いただけで、稲取の港エリア全体を眺望できる。
平坦な道が続くため、子どもや年配の方でも安心。
道中では季節の花々が楽しめ、果物や木の実もなるということで、摘みながらおさんぽする方の姿も。
さらに春には満開の桜が楽しめるということで、観光客にはまだまだ知られていない穴場スポットである。
また、「稲取ふれあいの森」周辺には、芝生広場とツリーハウスもある。
このツリーハウスは、稲取出身のツリーハウスクリエイター、小林崇さんの作品。
現在修繕のため立ち入り禁止となっているが、依然、この公園のシンボルとしてそびえ立っている。
DATA
稲取ふれあいの森
住所:静岡県賀茂郡東伊豆町稲取
電話:0557-95-1100 (東伊豆町役場)
アクセス:伊豆稲取駅より東海バス「伊豆アニマルキングダム/稲取高校上/大川公民館」行に乗車(乗車時間10分)、「町営グランド」バス停より徒歩約6分
福岡県出身、名古屋の編集プロダクションでデザイン・執筆の仕事をしたあと、2004年に静岡市へ移住。出版社でwebディレクターとして勤務後、2007年に取材・執筆・撮影・編集・デザインを生業とするフリーランスとして活動開始。静岡県内各地を飛び回りながら、静岡の魅力を発掘中。
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