今回、修善寺を案内してくれたのは
島川誠さん
“島ちゃん”の愛称で親しまれる「人力車 伊豆松崎組」。
東京出身の島ちゃんは2018年、静岡県加茂郡松崎町へ移住し、のち2020年に修善寺へ移り住む。
地域のあたたかなご縁に恵まれ、松崎町だけでなく修善寺でも活動をはじめた。
DATA
人力車 伊豆松崎組(島ちゃん)
住所:静岡県伊豆市修善寺
営業時間:9:00〜17:00
休業日:不定休
静岡県伊豆市修善寺(しゅぜんじ)。
夏目漱石などの文豪が通ったとされる修善寺温泉街は、桂川にかかる赤い橋をイメージする人も多いだろう。
家族連れやカップルなど、今もなお老若男女に人気の観光地だが、歴史ある場所だけに、知らなければ素通りしてしまうような名所や名店が、あちらこちらにある。
今回は街をよく知る案内人・人力車の島川さんに、修善寺の町について教えてもらった。
島川誠さん
“島ちゃん”の愛称で親しまれる「人力車 伊豆松崎組」。
東京出身の島ちゃんは2018年、静岡県加茂郡松崎町へ移住し、のち2020年に修善寺へ移り住む。
地域のあたたかなご縁に恵まれ、松崎町だけでなく修善寺でも活動をはじめた。
DATA
人力車 伊豆松崎組(島ちゃん)
住所:静岡県伊豆市修善寺
営業時間:9:00〜17:00
休業日:不定休
島ちゃんとの集合場所は「修禅寺」の門前にある赤い橋、「虎渓橋(こけいばし)」。
普段もこの場所で出会えることが多い。
さっそく人力車に乗って散策をスタート。
最近は大河ドラマの影響も大きく、聖地巡礼に訪れるファンも多いという。
多くの観光客の間をするりするりと進んでいく人力車。
まずはガイドブックやSNSでもよく見かける赤い橋へ。
この桂川にかかるのは、「滝下橋」「楓橋」「桂橋」「虎渓橋」「渡月橋」の5つ。
それぞれ、夫婦円満・結婚祈願・子宝祈願・恋愛成就・良縁祈願と、恋にまつわるご利益があるという。
ぜひ、願いを懸けながら橋を渡ってみたいところ。
島ちゃん曰く、桂川では昔、人々の移動手段であった馬が休んだこともあったという。
また、一見なんともない道の途中に、こんな石碑が。
文豪・夏目漱石が執筆活動をした「旧菊屋旅館」(※)がこの場所にあり、執筆活動中によくこのあたりを散歩していたため、「夏目漱石ロード」と呼ばれているそう。
この石碑は、夏目漱石が滞在中、大病に遭い、治ったときに詠んだ歌。
※現在は資料館として「虹の郷」に移設
「筥湯(はこゆ)」は、現在もなお利用できる日帰り入浴施設。
「実はここ、源頼家が入浴中に暗殺された場所なんですよ」とクスッと笑う島ちゃん。
看板も立てられているが、気が付かなかったり、読み飛ばしてしまったりすることも。
その点、人力車の島ちゃんが面白おかしく当時の歴史を語ってくれるので、記憶にも残りやすい。
「古い町並みでよく見かけますが、こちらの壁はなんでしょう?」と、クイズのような語りかけも。
なんの変哲もない通り道が、とたんに楽しくなる。
ガイドブックやインターネットだけでは知り得ない、“生きた”情報で、旅の質が格段に上がる体験だ。
歴史だけではなく、お店の特長や営む店主さんのお話など、実際に住んでいるからこそ分かるお話もたくさん聞けた。
「どのお店で買いものをしようか」「ごはんを食べようか」など、人力車での周遊後にはきっと、立ち寄りたいポイントが増えているはず。
今回ランチに紹介してもらったのは、島ちゃんのお母さまのお店。
静岡県伊豆市修善寺にある「お好み焼 いなみつ」。
もともとは修善寺名物の遊技場のひとつだったが、空き家となっており、その場所にお店を構えた。
こちらでは、店主である島川暁子さんが一つひとつ手づくりする、お好み焼と焼きそばが味わえる。
いただいたのは「自然薯のお好み焼」(税込600円)。
丸いお好み焼ではなく、くるっと具材を巻いたロール状の珍しいかたち。
なかには、皮付きのシャキシャキした歯ごたえの自然薯が。
この自然薯は、松崎町にある「田口自然薯ファーム」のもの。
力強い粘り気と濃厚な香りが人気で、松崎町自然薯品評会にて何度も「金賞」を受賞している逸品。
自然薯は時間が経つと粘りが強く出てしまうため、注文が入ってから一つひとつ調理している。
そうすることでシャキシャキの食感が出せるという。
お客さんは地元民が中心ということで、価格も税込600円とかなりお手頃。
暁子さんの人柄のにじみ出る、温かいお店だ。
DATA
お好み焼 いなみつ
住所:静岡県伊豆市修善寺930-1
営業時間:10:00〜16:00
休業日:金曜
次に訪れたのは、静岡県伊豆市修善寺にある「古民家カフェ あまね」。
地元食材を使用した、からだにやさしいランチやスイーツ、ドリンクが楽しめる。
お店を切り盛りするのは、地元出身の谷口さんご夫婦。
外観は、苔むした庭、まるで生花のような木々に、修善寺らしい佇まいを感じる。
店内はというとまた少し趣が異なり、古民家の造りとレトロモダンな家具や調度品がマッチ。
一部は谷口さんがDIYしたものだという。
畳というのもまた、あたたかみを感じるポイントになっている。
スイーツメニューで人気という「水信玄」(税込650円)をいただいた。
可愛らしい花型でつくられた特製水餅と黒蜜、国産きな粉は、ランチのあとでもペロリといただける。
また、「白玉黒蜜きなこ」(税込550円)はモチっとした食感で食べごたえ十分。
こちらはぜひ、藤枝市岡部のものをつかった「静岡抹茶」(税込500円)と一緒にいただきたい。
谷口さんご夫婦は現在子育て真っ最中。
お子さんと一緒に仕事のできるお店に、との想いがあり、店内には子ども連れでも利用しやすいスペースも。
家族みんなでゆったりのんびりひとやすみ、そんなシーンでぜひ立ち寄りたい。
DATA
古民家カフェ あまね
住所:静岡県伊豆市修善寺3461-10
営業時間:12:00〜16:00
休業日:月曜(不定休)
アクセス:修善寺駅より東海バス「修善寺温泉」行に乗車(乗車時間7分)、終点「修善寺温泉」バス停より徒歩約5分
「古民家カフェ あまね」からほど近く。
人気の「竹林の小径」へは、プラス料金で案内してもらえる。
高々と伸びた竹林の中で人力車に揺られるのは、なんとも風情がある。
混雑時は状況をみながらの案内になるが、人力車と一緒に記念撮影したいポイントだ。
お土産を買うならということで教えてもらったのが「修善寺 燕舎(つばめしゃ)」。
「日枝神社」すぐ横のデザインスタジオ&ギフトショップで、昔ながらの店舗の多いなか、スタイリッシュな修善寺土産が手に入る貴重なお店として人気だという。
修善寺をモチーフにした代表・勝野さんのオリジナルデザインのお土産のほか、修善寺出身の作家・修善寺に縁のある作家の作品が並ぶ。
「修善寺温泉自宅湯の素」は、修善寺温泉と同じ成分で源泉をブレンドした入浴剤。
秋の紅葉をイメージしたというオレンジ色と、ヒノキのウッディな香りで、修善寺温泉らしさを楽しめる。
1包税込220円という手頃な価格で、お土産のほか自分用にとセットで購入する人も。
この入浴剤は、島ちゃんの人力車を利用した際にもらえる「きっぷ」を持ってくると、特典としてプレゼントしてもらえるそう。
町を巡ることでさまざまなご縁が繋がる、というのも、旅の醍醐味ではないだろうか。
DATA
修善寺 燕舎(しゅぜんじ つばめしゃ)
住所:静岡県伊豆市修善寺825-2
営業時間:10:30〜16:00
休業日:月曜・木曜(不定休)
アクセス:修善寺駅より東海バス「修善寺温泉」行に乗車(乗車時間7分)、終点「修善寺温泉」バス停より徒歩約1分
最後に紹介してもらったのは、江戸時代の伝統工芸「麦わら細工」を購入・体験できる「民藝 麦わらの店 晨 〜あした〜」。
77年前、初代・辻晨吾さんが自ら建てたという工房では現在、2代目である奥さまの紀子さんと、3代目である娘の享子さんの二人が、その技術を受け継ぎ作品づくりに励んでいる。
あまり聞き馴染みのない「麦わら細工」だが、フィンランドの伝統飾り「ヒンメリ」といえば、ピンとくる人もいるのではないだろうか。
「編み細工」で代表的な作品は、当時、ホタルなどの虫かごとして使われていたことに由来する"ほたるかご”。
現在では、ドライフラワーを飾ったり、LEDライトを仕込んだ照明にしたりすることも。
麦わらのあたたかな素材感が、部屋の雰囲気を一気に格上げしてくれそうだ。
写真は「麦結び」と呼ばれるもの。
カラフルに染め上げた麦わらを編み込んでいくもので、ピアス・イヤリングといったアクセサリーとして、ネット販売でも好評な作品だという。
成人式の晴れ着や浴衣着のアクセントにもぴったりだ。
作品は工房・ネットで購入可能。
技術体験のワークショップも定期的に開催している。
夏休みには、子どもたちでにぎわうという。
要予約のため、詳しくはホームページへ。
DATA
民藝 麦わらの店 晨 〜あした〜
住所:静岡県伊豆市修善寺806-1
営業時間:10:30〜16:00
休業日:不定休
HP:https://mugiwaraw001.wixsite.com/mysite
アクセス:修善寺駅より、東海バス「修善寺温泉」行に乗車(乗車時間7分)、終点「修善寺温泉」バス停より、徒歩約6分
生まれも育ちも静岡県静岡市。同市の広告出版会社で、地元女性向けフリーマガジン&ウェブの編集長などを経験。約12年勤務ののち、2022年にフリーランスとして活動スタート。地酒や地場食材など、そこにしかない逸品探しに余念なし。未だ見ぬ静岡の魅力を、わかりやすい言葉でお伝えします。
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